展開図をつくる夜
夜、パソコンを開いて、箱の展開図をつくっていました。
蝶ネクタイを入れるための箱でしたが、ただ収めるための形にはしたくありませんでした。閉じたままでも、蝶ネクタイを思わせる輪郭が伝わる箱にしたい。そんなことを考えながら、画面の中で線を引いては、出力した紙を切り、糊で貼って組み立てしばらく観察して、またパソコンに戻って線の調整をくり返していました。

形だけでなく、どんな紙を使うかも大切でした。厚みが足りないと頼りなく見え、厚すぎると開けたときの印象が重くなります。手に取ったときの質感も含めて、箱として気持ちよく感じられることを考えていました。
もうひとつ大切にしていたのが、店頭での見え方です。ディスプレイをするとき、小さなスペースでも目に留まり、上に重ねて飾れること。いくつか並べたときにも形が崩れず、整った印象で積み重ねられることをイメージしながら設計しました。ひとつでも成立すること。また、いくつか並んだときには、売り場の中に小さなリズムが生まれること。その両方を目指していました。
折り位置が少し違うだけで、閉じたときの輪郭も、重ねたときの納まりも変わります。調整しては組み立てて、並べてみて、また画面に向かう。そのくり返しで、机の上には不恰好な試作箱がいくつも増えていきました。

こうして、”モックアップ” を作る時間は、わたしにとってものづくりの土台のようなものだと思います。試作を作り、少しずつ理想の形に近づけていく。その手順を大切にしたいという気持ちは、”MOCK(モック)”という名前にも重なっています。
完成したものだけでなく、そこへたどり着くまでの試行錯誤の跡も、どこかに残っていてほしい。そんなことをぼんやり思いながら、手を動かしていました。

空が明るくなりはじめた部屋で、
ペリタロウは試作の箱の様子をじっと見たり、デスクに飛び乗ってきたり、箱を前足でつついて飛ばしたりしていました。
箱が転がる乾いた音と、デスクの上を歩く小さな足音が続いていました。